甘い脅迫生活




「ほ、本当ですか?」

「ああ。本当だ。」



先ほどとは打って変わって、社長の笑顔が眩しく映る。嗚呼、後光すら見える。やっぱり世界的企業の社長になられる方は違うな。


少女漫画読んでようが、秘書のオーラが黒かろうがそれはいい!最高!



「ありがとうございます!」



再び頭を下げた私は、姿勢を正してにっこりと笑った。


「では、失礼いたします!」


私としては結果オーライ。副業はバレたのにこのまま続けていいなんて。会社公認が取れればこれまで感じていたストレスからも解放されて、ものすごく助かる。


なんで社長が私にそんな特別なことを言ってくれるのか理解できないけどいずれ会社の方針が副業OKになるからかもしれないし。許してくれたんだしここはよしとしよう。



踵を返して帰ろうとした私の肩に、大きな手が乗る。その手はただ乗っているだけなのにどこか、蛇が絡みついたような異様さを感じさせた。


「お話は、これからですが。」

「ひいっ。」


妙に近い山田さんの声が私の耳元から脳内をねっとりと刺激する。


振り返れば案の定、山田さんの笑顔のが至近距離にあった。



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