甘い脅迫生活
ギャップ
優雨との結婚生活は思いの外快適に過ごせていた。
あれから3か月。同居はうまくいっている。
社長である優雨はやっぱり仕事が忙しく、家に帰れない日も多々あった。それでも、家に帰れる日はどんなに遅くても帰ってくる。
思いの外、2人で過ごすことに違和感はなくなっていた。
初めはお風呂に入ることにすら気を使っていた私。
『もう家族なんだから、遠慮はなしだ。』
そう言ってくれた優雨のおかげで、あの綺麗すぎる家にもようやく慣れた気がする。
赤の他人同士が突然夫婦になるなんて絶対にやりにくいと思ったけど、どうやら私は思ったよりも神経が図太いようで、今ではなんの違和感もなく優雨の存在を受け入れていた。といっても、夫としてじゃなく、異性でもなく、一人の人間としてだけど。
私と優雨が結婚したことで、私はどうしていればいいのか。何をすべきなのか。目下の悩みだったそれは、スーパー秘書山田さんが解決してくれた。
まず優雨の両親には今年の年末に挨拶に伺うことにしていて、それまでは入籍については伏せるらしい。どうやら婚姻届けの保証人の名前は違う人みたいだ。まぁ、苗字が違ったからそうかな、とは思ったけど。
そしてうちの両親。優雨はすぐにでもご挨拶にと言うけれど、私の仕事と優雨の仕事の調整がうまくいかなくて、同じく年末にしようということになった。
そして、所長やさえちゃんには、私が言った通り、優雨の会社の関係でまだ言えないということで押し通すことになった。