甘い脅迫生活
厳しい?あの優雨が?
恐い?あの優雨が?山田さんじゃなくて?
規則主義?規則どころか脅迫という犯罪犯してるけど。
確かにいつも服はきっちりと着こなしてるけど……。
「ぶっ、」
「ん?」
「先輩?」
必死に湧き上がる笑いを抑えながら、2人になんでもないとばかりに手を振った。
優雨は意外と休日はダラダラ寝ているタイプだ。そして基本的に。
そんなにか?というほど寝ぐせが酷い。
元がくせっ毛なのか知らないけど、そこまで癖がつくかというほど朝は爆発頭で起きてくる。それがきっちり、洗面所に行ったあと治ってるから不思議だ。
一度それを解明したくてこっそり優雨の愛用品を見てみたけど、その辺のドラッグストアで売っているような既製品ばかりで、特別凄そうなものは見当たらなかった。
「ほらその髪型も!くるくる巻くんじゃなくストレートに!後ろで結わえて!」
「えー、それじゃダサくないですか?」
「ぐっ、」
優雨の爆発頭を思い出していた時に不意打ちの髪型ネタ。この2人はほんと……タイミングが絶妙すぎでしょ。
「先輩、さっきから楽しそうですけど、大丈夫ですか?」
「さえちゃん、それは頭がって言いたいわけ?」
なんとか笑いを収めて喘ぐ私に、さえちゃんがにっこりと笑う。