暴走族の姫 Ⅰ
それを聞いて、俺は手術を受けてほしいと思った。








少しでもいいんだ。









俺のそばにいてほしい。










そんなに時間がたっていないのに、俺は悠がいないと駄目になっている。









姉貴「兎に角、悠ちゃんの目が覚めるのは薬の影響で明日以降だから、蘭を連れて一回帰りなさい。」








そう、言われて俺達は説明室をでて悠の病室へ向かった。








そこには、悠が寝かされていて、蘭が椅子に座りながら







点滴している悠の手を握って一緒に寝てた。









そのときの蘭の顔は今までにない、心から安心ているような寝顔だった。











この時、同時に怖くもなった。










蘭を助けたのは紛れもない、悠だ。










その悠が死んでしまったら、蘭はどうなるのだろう。










麗「蘭っ!起きて~!帰るよ~!」










今の考えを消すように麗が蘭に声をかけながらかたを揺さぶった。









蘭「ん…。せつめい、おわったの?」









久しぶりに見たこんなに無防備な蘭を。









よかった。









最近、蘭の本当の姿を見ていなかった事に気づいた。









本当の蘭は子供みたいに甘えんぼうなやつで、愛嬌のあるやつだ。









だからなのか、年上によく好かれていた。










沙羅「えぇ。


終わりましたよ。


車で来たので一緒に帰りましょう。


その服も洗わなければなりませんし…。」







そうだった。








蘭は悠を刺してしまって、そのまま、救急車に乗ったから、悠の血がついたままだった。




< 58 / 104 >

この作品をシェア

pagetop