暴走族の姫 Ⅰ

麗side







悠が勝手に退院したと聞いてからもう、２週間たった。







情報を集めてくれる沙羅も今は、蘭のことで手が一杯。







それでも、蘭のことみながらパソコン作業もしていて、沙羅が倒れないか心配なほど…。








沙羅「っっ！？麗。優喜を呼んできてください。」








突然呼ばれて、少しびっくりしたけど







なにか真剣な様子でそう言われたので素直に優喜を呼びに行く。









麗「優喜ー！沙羅が呼んでるっ！」









優喜も状況を察したようで、バイク弄りをやめてすぐ上がってきた。









麗「沙羅っ呼んできたよ！」









「ありがとうございます」って言って沙羅と僕にパソコンの内画面を見せてきた。








そこには。









「悠っっ！何でっこんなっ」









沙羅は人差し指を口に当てて、静かにという。









そうだ。蘭が寝てるんだった。









でも、そんな大声を上げたくなる様な酷い動画だった。









音声は鳴らないように設定してあるのか聞こえないが。









それは間違いなく悠が酷い扱いを受けている動画だった。











思わず顔を歪ませる。









声にならない声で必死に逃げようとして殴られて犯されて。









ｶﾞﾝｯ









優喜が机を思いっきり叩いた。










しかし、目線はずっとパソコンの画面に釘づけだ。








少し、少しだけど僕はこの時の優喜が怖くなった。









優喜が本当に人を殺してしまうんじゃないかと思ったからだ。









蘭「ﾋﾞｸｯっっ！？さ、沙羅っ？俺、悪い子なの？」










そのとき、蘭がさっき優喜が机を叩いた音で起きてしまった事に気づいた。









蘭は最近、子供になることがある。










勿論、心だけが。









藍羅さんが心が疲れたときの防衛本能だと言っていた。









幼児退行は、周りの対応が肝だと藍羅さんが言っていた。









その辺沙羅はすごいと思う。










沙羅「大丈夫。大丈夫。蘭は悪い子じゃないです。良い子ですよ。だから、もう少し寝ていなさい。」









「うん。」とそう聞こえて、そのまま蘭は寝てしまった。









蘭も少し、睡眠障害になりかけていて、寝れていなかったようでその反動が今来ている。










起きている時間は1日に3時間程。









でも、前のいつも眉間に皺を寄せていた頃より断然可愛い。










麗「らんだいすき。」









僕は静かに蘭の耳元へ行き、そう囁いた。









それが聞こえたのか、蘭は眠りながら微笑んだ。