暴走族の姫 Ⅰ
麗が助手席から顔を出して、叫んでいる。
















私を支えている優喜が、うるせぇと隣で怒鳴っている…。
















この四人が作り出す雰囲気がどうしようもなく好きなのだ。
















車のなかに入ると運転席には沙羅が奥には蘭が乗っていた。















それから、私が真ん中に座り、優喜が座った。















「悠?大丈夫?」
















蘭は私と再開した日から幼児退行がみえなくなり、今では普通の生活ができるようになってきた。















そう。幸せな生活が。
















倉庫に戻ると、扉の前に一台の車が止まっているのが見えた。















もしかしたら、施設長の手下かもしれない。
















そう思うと全身が震えてくる。怖い…。
















恐怖の対象はやはりちょっとやそっとでは拭えないようだった。














それがわかってしまったのか、皆が私の前に出てあの車はみんなの背中で隠れてしまった。














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