透明ジェラシー
「……なん、で……」
唇が震える。動揺が隠せない。
さっきまで沈んでいたくせに、今はなぜか口元が微笑んでいるお母さんに無性に腹が立った。
「本当は入学式が終わってから渡すつもりだったんだけど。小さい頃から好きだったでしょう?高校生になる娘にこれは、とは思ったんだけど、この前買い物に行った時に見てたから」
涙がこぼれる。
辛い。
悔しい。
ムカつく。
––––––––ああ。
ダメだ。
「……ふざけないでよ!!さっきからなんなの!?もうっ、やめてよ……!もう好きじゃない……っ。いらない、こんな物!!」
泣き叫んだ。そして、せっかくのお母さんからのプレゼントを叩きつけるように投げた。
衝撃で飛び出したぬいぐるみ––––––––白雪姫だ。