透明ジェラシー
「……出てって」
「え」
「出てってよっ」
強引に追い出し鍵をかける。
「千桜ちゃんっ!?」
「うるさいっ!」
バン!と扉を叩くと、さすがに観念したのか遠ざかる足音。扉に背を預け、ズルズルと膝から崩れ落ちた。両手で顔を覆い泣きじゃくった。
ふと、視線を感じてそちらを見やると、鏡越しの白雪姫と目が合った。黒いボタンの目が私をじとっと見つめる。
––––––––見ないで。
こんな醜い顔を。
––––––––どうしてなの。
あなたになりたい。
––––––––もう嫌だ。
疲れたよ。
枯れない涙。震える唇をきつく噛んだ。痛かった。切れた唇も、傷ついた心も、何もかも……。
もう、全て諦めるから。
もう、全て受け入れるから。