透明ジェラシー

深い眠りから覚めたような、そんな倦怠感があった。


あ、と小さく呟いた。そう言えば、「あれ」は一体何だったのだろう。やっぱり夢だったのかな。自暴自棄になって妄想を膨らませすぎたんだ。きっとそうだ。


「もう、よかったわ。中々起きないから心配したのよ」

「……ごめんなさい」

「本当によかった。でも千桜ちゃん。制服シワだらけじゃない。急いでアイロンかけないと時間がないわ。ほら脱いで」


すっかりシワだらけになったスカートを見つめながらぼそっと言った。

「……行かない」


あんな大勢が集まる場所で醜態なんて晒したくない。真ん中なんて歩けない。もう頑張れない。嫌われ役ももう嫌だ。

それに私、お母さんに酷いこと言ったんだよ?なおさら行けないよ。
< 24 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop