透明ジェラシー

俯く私の頭上にため息が降ってきた。そして腕を掴まれて強引に立ち上がらされる。


「何言ってるのよ。今日は大事な入学式でしょう?だからほら、さっさと身だしなみ直しなさい。その間にアイロンかけるから」


そう言って剥ぎ取られていく制服。されるがまま、あっという間に肌着だけになった。お母さんはそそくさと部屋を出て行った。


「……だから行きたくないんだって」


残ったえんじ色のリボンに視線を落とし、重いため息を吐いた。とりあえず髪くらいは直そう。そう思い、鏡の前に立った。


「––––––––え……」


掠れた声が漏れた。途端に心臓がもの凄い速さで打つ。息が上手に吸えなくて目眩がしそう。


だって、そうじゃない。違う。
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