アマイロのリボンを掛けて
「…久々聞いたな…ソレ……フフフ、で?どうした?」
「それをね?渡したかたの…」
更に泣き出すから
目許の涙をキスで拭っていく
「泣くなよ…」
可愛くて、大事なんだから
泣く姿なんて…甘い夜しか見たくないぞ?
「ん……巧くん…あ、けてみて」
紅子がそう言うから
包装紙を開けると…
綺麗なブルーのリボンが掛った箱だった
丁寧にリボンを引いて箱を開くと
中には…長ーい茶色い物体がある
「ん?チョコレート?」
「うん…河野さんに手伝ってもらって金太郎飴みたいな…巧くんチョコを作ったの」
確かに横を見ると
男の子らしき顔で丁寧に眼鏡までつけていた…
「河野さんが、今日はバレンタインデーだから
絶対にムードのあるいいとこで渡しなよ?って…朝電話が来て」
紅子はまだポロポロ泣く
「ちょ、ちょいまち」
「ふっぐふ…ん??」
オレは紅子にビシッと人差し指を出した
「1日違うぞ?」
「え?」
「今日は2月13日だけど?」
「あれ?だって河野さんが…今日一番に声かけろって!
彼女はチョコを一日前に渡すもんだって…」
(あのやろー!紅子は騙されやすいんだから振り回すなよ)
フツフツと怒りがこみ上げてくる
まったく今度彼女さんと懲らしめてやる
と決意した
「ごめんなさい…緊張しすぎて熱出すとか…」
「ま、いいよ…ほらもうあと30分でバレンタインデーだし…紅子から一番に貰えたし…嬉しいよ」
「ほんろに?」
「うん、有難う、紅子…」
自然に笑みが溢れる
(オレのために一生懸命作ってくれたんでしょ?嬉しいに決まってる)
「巧くん…大好き」
熱で潤んだ瞳は
いつも以上に可愛くて思わず深く口づける
「オレも紅子が大好きだよ」
ちょっと天然だけどそんなとこも好きなんだ
fin