君が好きなんて一生言わない。
私は目を丸くした。

椎先輩も驚いているのか目を見開いている。


「まあ、すっかり大きくなって、もう立派な娘さんねえ。まだここにいたときには保育園にも通っていなかった小さなお嬢ちゃんだったのに」


「懐かしい」と言わんばかりの花田さんは目を細める。


「いつもそうやって椎くんと麗ちゃんはいつも一緒にいたものねえ。今でも仲良しなの？」


分からない話が次から次へと展開されている。

どういうことなのか理解しようとするけれど、情報がつながっていかない。


「あら、もう覚えていないかしら。小さい頃からずっと仲良しだったのよ。麗ちゃんのお父さんがまだおられたときも、お母さんが入院されたときも…」


「花田さん！」


椎先輩は大きな声を上げた。

すると花田さんは目をはっと見開いて口元を押さえると「あっ、ごめんなさい！」と謝った。

それからそそくさとその場を後にした花田さんの後姿をじっと見ていた椎先輩に、私は声をかけた。


「え、先輩…どういうことですか？」


先輩は口をつぐんだまま目を伏せている。決して私を見ようとはしない。


「説明してください。私、小さい時からずっと先輩と一緒だったんですか？お父さんがまだいたときって、それにお母さんが入院してたって、私、知らない…」


「麗ちゃん…」


「説明してください！先輩！私、私は…私は、昔先輩に会ったことがあるんですか？！」


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