君が好きなんて一生言わない。
「ありがとう、麗。椎くんも、麗の傍にいてくれてありがとうね」
「いや、ぼくは…」なんて俺が照れていると、麗のお母さんはクスっと笑った。
お母さんが笑ったのが嬉しかったのだろう麗は「また作ってくる!」と言って会談室に走って行った。
それを追いかけようと思ったけれど、その時「椎くん」と麗のお母さんに呼び止められた。
「椎くんに託したいものがあるわ」
「ぼくに?」
「そう、椎くんに」
すると麗のお母さんは起き上がって備え付けの小さな机から紙袋を取り出した。
「これを、椎くんに託すわ」
「これは?」
紙袋の中を覗いてもよく分からない。
尋ねると、麗のお母さんは静かに言った。
「これはスノウドロップという花の球根。これを育てると、冬に白い可愛らしい花が咲くのよ」
もう一度紙袋の中身を覗いてみる。茶色っぽい塊しか見えない。
これが白い花になるなんて到底信じられなかった。
「とってもきれいな花でね、おばさんとっても好きな花なのよ。毎年この花が咲くことを楽しみにしていたの」
「楽しみにしていたの」と過去形で話す、おばさんの口調に何だか違和感を感じて俺はおばさんの顔を見上げた。
「賢い椎くんだから、お願いしたいことがあるの。聞いてくれるかしら」
おばさんは頭を撫でてくれた。
いつもの優しい手で。
だけど、どうしてだろう
その時はその手が少し、骨ばって感じた。
「いや、ぼくは…」なんて俺が照れていると、麗のお母さんはクスっと笑った。
お母さんが笑ったのが嬉しかったのだろう麗は「また作ってくる!」と言って会談室に走って行った。
それを追いかけようと思ったけれど、その時「椎くん」と麗のお母さんに呼び止められた。
「椎くんに託したいものがあるわ」
「ぼくに?」
「そう、椎くんに」
すると麗のお母さんは起き上がって備え付けの小さな机から紙袋を取り出した。
「これを、椎くんに託すわ」
「これは?」
紙袋の中を覗いてもよく分からない。
尋ねると、麗のお母さんは静かに言った。
「これはスノウドロップという花の球根。これを育てると、冬に白い可愛らしい花が咲くのよ」
もう一度紙袋の中身を覗いてみる。茶色っぽい塊しか見えない。
これが白い花になるなんて到底信じられなかった。
「とってもきれいな花でね、おばさんとっても好きな花なのよ。毎年この花が咲くことを楽しみにしていたの」
「楽しみにしていたの」と過去形で話す、おばさんの口調に何だか違和感を感じて俺はおばさんの顔を見上げた。
「賢い椎くんだから、お願いしたいことがあるの。聞いてくれるかしら」
おばさんは頭を撫でてくれた。
いつもの優しい手で。
だけど、どうしてだろう
その時はその手が少し、骨ばって感じた。