君が好きなんて一生言わない。
それからも家の事情で、小学校も中学校も引っ越した新しい町で過ごしていたけれど、高校生になるころにまた親が転勤することになり麗と暮らしていたあの街に戻ってくることになった。

転校先で知り合った親友のユズも、スポーツ推薦で同じ高校に通うことになった。


「そーいえば、椎は何部に入るんだ?」


高校生の春、部活の新歓で盛り上がる中ユズに聞かれた。


「そういうユズは?」

「俺はほら、推薦入学だからバスケ部だな」


運動が大得意というかそれしか取り柄のないユズは、他校からもいくつも推薦をもらっていた。

もちろんこの高校のバスケ部よりも強豪の学校はいくつもあったけど、なんでこの高校を選んだんだと聞くと「お前がいるからな」と言われてしまった。


「お前は危なっかしい上に友達が少ないから俺が支えてやらねーとな!」


歯を見せてニカっと笑ったが、俺は眉をひそめて「何それ」と訝しむ。


「ユズが俺の面倒みるんじゃなくて、俺がユズの面倒を見る、でしょ。全く高校に来てまでユズの世話係だなんて本当に面倒」

「おまえ、そんなこと言う!?こっちは心配してやってるのに!」

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