君が好きなんて一生言わない。
「なんなんだよ!」と騒ぎ立てるユズに「心配?」と尋ねる。


「そーだよ、心配なんだよ!お前、普段はしっかりしてるくせにどっか危なっかしいからな!」


「見てるこっちがヒヤヒヤするっつーの!」と腕を組むユズの話は驚きだった。


「そんなに?」


「おう、そーだよ!」


自覚はなかった。

ユズに言われるということは相当だ。

一体どこが…と考えていると、「で、どこに入部するんだ?」と尋ねられた。

悩むまでもない。

その答えは既にあった。

入部先はこの高校に入学すると決まったときから決めていた。


「園芸部」


「え、園芸部?」

「そう、園芸部」


「なんでまた園芸部に…お前ってそーゆーのに興味あったっけ?」と不思議そうな顔をするユズに、俺は言った。


「…約束したから」


幼いときにした約束。

小さなこの町に高校は一つだけ。

それなら、麗が高校に進学するときにこの高校に入学する確率はかなり高い。

そうならば、俺は麗のお母さんとの約束を果たさないといけない。


約束を破ってしかない俺が、唯一守れる約束を。


ユズはそれ以上のことを聞いてこなかったが、「お前は一度決めるとブレないからな」と溜息を吐いて、「よし、決めた!」お大声を上げた。


「俺も入るぜ、園芸部!」


俺は目を見開いて「は?」としか言えなかった。


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