君が好きなんて一生言わない。
「いや、ユズはバスケ部でしょ?」

「兼部するんだよ、兼部!」


勝ち誇った笑みを浮かべるユズに、俺は確認するように「バスケ部と園芸部の?」と聞くがユズは得意げな顔をしたままだ。


「そーだよ、俺ちょー天才!」


いや、どこがだよ。

脳内で突っ込んで、「なんでまたそんなことを」と俺は溜息を吐いた。


「だってこれしか方法はねーだろ?」


至極当然のことを言うようにユズは真面目な顔をした。


「危なっかしいお前が危険なことをする前に止める奴が必要になる。そのためにはお前が入る部活に俺も入んないといけねーけど、俺はバスケ部もしたい。だから兼部する。なんか文句あるか?」

「は?いや、文句の前に何言ってるのか分かんないんだけど」


しかし俺の話なんて一切無視して、ユズは俺の腕を掴むと意気揚々と言った。


「よし、そうと決まれば入部届出しに行くぞ!」

「ちょ、待ってってば、ユズ!」


それから俺とユズは園芸部に入部した。

廃部寸前だった園芸部には先輩はおらず、先生からの頼みごとを引き受ける下働きにも近い仕事をこなす毎日となった。

おまけにユズはバスケ部で大活躍するため園芸部に顔を出すのは2か月に1度あるかないか。

ユズは申し訳なさそうな顔をしているが、時々でも手伝いがいることはありがたい。


むしろ申し訳なく思うのは俺の方だった。

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