君が好きなんて一生言わない。
「お、椎じゃねーか」


ユズはいつも通りに笑顔で話しかけてくる。


…でも、バレバレだ。

その笑顔はいつもと違ってどこかぎこちない。

無理をしてることは一目瞭然だった。


それと同時に少し苛立った。

ユズが何も言わずに俺に笑顔で隠そうとしたことに。

何年一緒にいると思ってる。作り笑顔か、そうでないかくらい、俺が見分けられないわけがない。


「…何、その顔」


俺も存外余裕がなかったのかもしれない。

いつもなら言わない言葉が口から溢れた。


流石に付き合いの長いユズは短い俺の言葉でも何を言わんとしているのか気づいたらしい。

驚いた表情をして、それから困ったように笑う。


「やっぱ、お前には隠せねーか」


「さすが親友だな」なんて笑うが全然笑えない。

呆れもしない。

当然だろ、今さら何を言っているんだって、怒りしか感じない。


「でもお前、理由は分かってんだろ？」


さっきまで笑っていたユズの視線が鋭くなる。

さっきの告白を俺が盗み聞きしてしまったこと、ユズは気づいていたらしい。

気づいてて、あんなに格好良く告白できるのか。全くどこまでカッコイイやつなんだよ、ユズは。

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