君が好きなんて一生言わない。
「俺は信用できねーのか?ああ?」


胸ぐらを掴んだユズは怒りをぶつける。


「何か言えよ!なあ!」


それは至極当然のもので、俺は反論しなかった。

反論できる余地もないし、反論の必要もなかった。

抵抗もせずに、何も言わずにただユズの怒りに耳を傾けていた。



「お前だって麗ちゃんのことが好きなんだろ?!」



俺は胸ぐらを掴むユズの手を掴んだ。

怒りで我を忘れそうになっていたユズは、はっとして顔をあげる。


「…違う」


ユズの目の色が変わった。


「はあ?あんなにお前が他人に関わるなんてありえねーよ!」


「…だから、違う」


「違うわけねーだろ!やっと何か言ったと思ったら、嘘をつくのか?俺に嘘までついて、お前は__!」


「だから違うって言ってるだろ!」


俺は怒鳴った。

初めて他人相手に怒鳴ったことに驚いたらしいユズは目を真ん丸にして、胸ぐらを掴む力を弱めた。

このばかに言いたいことはたくさんあった。

けど言いたいことが喉につかえるようで、言葉が出てこない。

ただ荒い息を整えていると、静かにユズが言った。芯のある、力強い声で。



「絶対に違わない。お前は絶対に麗ちゃんが好きだ」

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