君が好きなんて一生言わない。
ユズ先輩が連れてきたのは、食堂前のベンチ。
昼時はお腹をすかせた生徒が殺到する賑やかな食堂前だけど、今は人っ子一人いない、しんと張り詰めるような静寂に包まれている。誰かが来るようなそんな気配すらもない。
確かにここなら、話すのにうってつけだけど。
ユズ先輩は「ちょっと待っててな」と言うと、どこかに行ってしまった。
けれどすぐに戻ってきた。両手に小さなペットボトルを持っている。
「悪い、待たせた」
「あ、いえ…」
すると先輩は「ココアとミルクティー、どっちがいい?」と差し出した。どうやらすぐそこにある自販機で買ってきたらしい。
「じゃあ、ココアで…」
私が受け取ると先輩は私の隣に腰を落としてペットボトルのキャップを捻った。
「寒いから、それでも飲んで温まろ」
先輩は笑うとミルクティーを飲む。
私は手のひらの中にある温かいココアに目を落として、熱を失わないうちに飲んでしまおうとキャップを開けた。
一口含むと舌にじんわりと広がる温かい甘さ。
べっとりと絡みつくような甘さを感じていると、「俺、あったかくて甘いもの、好きなんだ」と先輩は言った。
「あんまんとか、焼きたてのメロンパンとか。コーヒーも紅茶も砂糖を入れた方が好きなんだよ」
何を言われているのか分からなくて、だけどユズ先輩が甘い物好きというのは意外だなと思った。
昼時はお腹をすかせた生徒が殺到する賑やかな食堂前だけど、今は人っ子一人いない、しんと張り詰めるような静寂に包まれている。誰かが来るようなそんな気配すらもない。
確かにここなら、話すのにうってつけだけど。
ユズ先輩は「ちょっと待っててな」と言うと、どこかに行ってしまった。
けれどすぐに戻ってきた。両手に小さなペットボトルを持っている。
「悪い、待たせた」
「あ、いえ…」
すると先輩は「ココアとミルクティー、どっちがいい?」と差し出した。どうやらすぐそこにある自販機で買ってきたらしい。
「じゃあ、ココアで…」
私が受け取ると先輩は私の隣に腰を落としてペットボトルのキャップを捻った。
「寒いから、それでも飲んで温まろ」
先輩は笑うとミルクティーを飲む。
私は手のひらの中にある温かいココアに目を落として、熱を失わないうちに飲んでしまおうとキャップを開けた。
一口含むと舌にじんわりと広がる温かい甘さ。
べっとりと絡みつくような甘さを感じていると、「俺、あったかくて甘いもの、好きなんだ」と先輩は言った。
「あんまんとか、焼きたてのメロンパンとか。コーヒーも紅茶も砂糖を入れた方が好きなんだよ」
何を言われているのか分からなくて、だけどユズ先輩が甘い物好きというのは意外だなと思った。