君が好きなんて一生言わない。
「なんで、麗が謝るの…謝るのは、わたしで…」


「私も紗由を傷つけたことに代わりはないから」


今にも崩れてしまいそうな紗由を抱きしめる。



「私が弱いせいで紗由を苦しめたんだよね」



この体に、どれだけの悲しみと苦しみを積もらせてしまったのだろう。


私がちゃんと言えていればきっと苦しめずに済んだのに。

私が勇気をもっていれば、こんなことにはならなかったのに。


全ては弱い私が引き起こしたことだ。





「だから私もう逃げないよ」




一介の女子高校生に何ができるというわけでもない。


だけどせめて、自分の好きなものは好きだと言いたい。

諦めずに、逃げずに。

誰に何と言われても、どんな事情が絡みついていたとしても。


それくらいの強さは持っていたい。


「麗…」

「紗由、こんなどうしようもなくて弱い私だけど、また仲良くしてくれる?」


すると紗由は目を見開いてそれから笑った。

いたずらっ子みたいな、いつもの顔。

ただその目には涙が浮かんでいた。


「当たり前でしょ」


それから私達は微笑みあったんだけど、紗由が「ほんっと、麗はかっこいいな」と大きな独り言を言うみたいに言った。

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