君が好きなんて一生言わない。
…早く教室を出よう。

移動教室の準備をするけれど、視線を落としていた机に影ができたのに気づいて、私の心臓はまた痛いくらいに鼓動し始めた。


胸が、苦しい。

美紅ちゃんが立ち上がり、その口を動かしたのが視界の端にうつる。



「あんたみたいなやつが私らと同じ空間にいていいと思ってんの?」



刺さる。


言葉が、胸に突き刺さる。


まるで刃物だ。


鋭利な刃物。


どくんと心臓は嫌な音を立てて心拍し続ける。


そんな私の席の近くにやってきて、美紅ちゃん達は私を見下ろしながら言った。


「何か言ったらどうなの?紗由とは話すくせに、あたしらにはなーんも喋んないもんね、あんた」


私は俯いた。


違う。

違うんだよ、喋んないわけじゃなくて。




「なに、あたしらとは話す価値もないって?清水のくせに見下してんじゃねえよ」




話したいのに、怖くて声が出ないだけで。

それすら説明できなくて、もどかしい。


声を出すどころか息をするのも見失いそうなほど、呼吸が荒くなる。

美紅ちゃんが机の上に置いてあった私の教科書を持ち上げてもてあそぶようにページをめくる。





「ほんっと__ふざけるのもいい加減にしろよ」





ビリ、と破かれる音が鼓膜に響く。


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