君が好きなんて一生言わない。
先輩は顔をあげて目を見開いた。
それから憂いを帯びたような哀しい笑顔で言った。
「…うん、好きだよ」
泣いてしまいたかった。
声をあげて泣いてしまいたかった。
でも泣きたくはなかった。
先輩にみっともない姿を見せたくはなかった。
だから必死に口角をあげて笑顔を保つ。
分かってた、紗由から話を聞いたときから、告白を遮られたときも。
椎先輩には大切なひとがいること。
私じゃ届かないことも、分かっていた。
分かってたのに、こんなに胸が苦しい。
「その人、どんな人なんですか?」
「そうだな」なんて先輩は考えるような仕草をする。
「表情が豊かで、笑顔が可愛い人かな」
「そうなんですか」
今、椎先輩の頭に浮かんでいるその人が羨ましい。
椎先輩にそんな優しい顔をさせるなんて、ちょっと悔しい。
私だと、きっと椎先輩はここまで優しい顔をしてくれない。
そう思うと、すごく悔しい。
「上手くいくといいですね」
「…そう、だね」
先輩はなぜか苦しそうに笑う。
あんなに好きな人がいるのにどうして、と思っていると先輩は「雪」と呟いた。
見上げると灰色の空から、はらり、はらりと雪が降ってくる。
それから憂いを帯びたような哀しい笑顔で言った。
「…うん、好きだよ」
泣いてしまいたかった。
声をあげて泣いてしまいたかった。
でも泣きたくはなかった。
先輩にみっともない姿を見せたくはなかった。
だから必死に口角をあげて笑顔を保つ。
分かってた、紗由から話を聞いたときから、告白を遮られたときも。
椎先輩には大切なひとがいること。
私じゃ届かないことも、分かっていた。
分かってたのに、こんなに胸が苦しい。
「その人、どんな人なんですか?」
「そうだな」なんて先輩は考えるような仕草をする。
「表情が豊かで、笑顔が可愛い人かな」
「そうなんですか」
今、椎先輩の頭に浮かんでいるその人が羨ましい。
椎先輩にそんな優しい顔をさせるなんて、ちょっと悔しい。
私だと、きっと椎先輩はここまで優しい顔をしてくれない。
そう思うと、すごく悔しい。
「上手くいくといいですね」
「…そう、だね」
先輩はなぜか苦しそうに笑う。
あんなに好きな人がいるのにどうして、と思っていると先輩は「雪」と呟いた。
見上げると灰色の空から、はらり、はらりと雪が降ってくる。