君が好きなんて一生言わない。
誰もいない無人の空き教室を見て、私は虚無感に襲われた。


呆然としかける意識の中で、分かっていたことでしょう、と自分自身に言った。


そう、分かっていた。


空き教室で一緒に食べようって椎先輩と約束したことは一度もない。

だから昼休みにここにいなかったとしても、それは約束違反でも何でもない。


椎先輩がいつもここにいるって保証はどこにもない。


…分かっていたのに。


ここに来れば、椎先輩に会えるって思ってた。


いつだって私を迎えてくれた。


暖かい笑顔を向けてくれた。


おにぎり一つしか持ってこない私を見かねてお弁当を少し分けてくれた。


へたくそな私の話も優しい笑顔で聞いてくれた。






先輩が、もういない。






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