君が好きなんて一生言わない。
先輩は苦しそうな顔をして「俺のせいなんだ」と言った。
「麗ちゃんが、記憶を失ってしまったのは、俺が約束を破ったせいだ。俺がもし約束を守れていたら、麗ちゃんは、こんなことには__」
こんなことには、ならなかったのに。
先輩が言おうとした言葉は最後まで言わなくとも分かった。
けれど私は首を横に振って「違います」と否定した。
「多分、私は記憶を失うことがなかったら、紗由やユズ先輩や椎先輩みたいに大切な人はきっとできませんでした」
もし出会えていたとしても、こんなにも大切な人達になっていただろうか。絆が深まっただろうか。
きっと違うと私は思う。
「全部、先輩がくれたんです」
大切な友達も、願いも、居場所も。
生きていることがこんなにも楽しいと思えたのは、椎先輩に出会たからだ。
「椎先輩と出会て幸せです」
すると椎先輩は「そんなことない」と震えながら言う。
「俺は、約束を破ってばかりで。麗ちゃんのこと、あんなに苦しめて。麗ちゃんに幸せになってほしくて、それを見守りたくて。なのに、出会えて幸せなんて、そんなこと言ってもらう立場じゃ__」
「立場とか、そんなこと関係ないです!」
顔を押さえて肩まで震えだした先輩にぎゅっとしがみつく。
いつもは大きくてお兄さんのように見えていた背中が、今はまるで迷子の子どものように見えてくる。
「麗ちゃんが、記憶を失ってしまったのは、俺が約束を破ったせいだ。俺がもし約束を守れていたら、麗ちゃんは、こんなことには__」
こんなことには、ならなかったのに。
先輩が言おうとした言葉は最後まで言わなくとも分かった。
けれど私は首を横に振って「違います」と否定した。
「多分、私は記憶を失うことがなかったら、紗由やユズ先輩や椎先輩みたいに大切な人はきっとできませんでした」
もし出会えていたとしても、こんなにも大切な人達になっていただろうか。絆が深まっただろうか。
きっと違うと私は思う。
「全部、先輩がくれたんです」
大切な友達も、願いも、居場所も。
生きていることがこんなにも楽しいと思えたのは、椎先輩に出会たからだ。
「椎先輩と出会て幸せです」
すると椎先輩は「そんなことない」と震えながら言う。
「俺は、約束を破ってばかりで。麗ちゃんのこと、あんなに苦しめて。麗ちゃんに幸せになってほしくて、それを見守りたくて。なのに、出会えて幸せなんて、そんなこと言ってもらう立場じゃ__」
「立場とか、そんなこと関係ないです!」
顔を押さえて肩まで震えだした先輩にぎゅっとしがみつく。
いつもは大きくてお兄さんのように見えていた背中が、今はまるで迷子の子どものように見えてくる。