君が好きなんて一生言わない。
春待つ花を
*
先輩に好きだと伝えたその週末、私たちは電車で何駅も離れた田舎に来ていた。
「初めて来た」
「私もです」
無人駅を降りると、穏やかな日差しの下に遠くまで田んぼや畑が広がっている。
雪は積もっていないのが幸いだけど、それでも風がびゅうびゅう吹き抜けて寒い。
「先輩もついてきてくださって本当に助かりました」
隣にいる先輩を見上げれば「俺も用事があるから」と言われてしまった。
「それに、俺も麗ちゃんもすごくいきたかった場所だし」
私は頷いて、目的の場所へと急ぐ。
先輩はもらった地図と目の前の景色を見比べながら歩いて、私はその後ろを歩く。
どこまで行っても田舎の景色は全然変わらない。田んぼと畑と、ときたま民家。
どこまでものどかな景色だ。
「ここの道を曲がるらしい」
一車線しかない道路を山に向かってしばらく歩いて、ようやく現れた分かれ道。
右に折れる道を曲がるとすぐに険しい山道になった。
「え、こっちで合ってるんですか!?」
「地図にはそう書いてあるけど?」
「なんなら麗ちゃんが見てみる?」と少し高圧的に言われて、方向音痴な私は「いやいや、先輩を信じます」と答えるしかなかった。
しばらく歩いていると急に開けた場所に出て、そこは気持ちのいい風が吹き抜ける場所だった。
先輩に好きだと伝えたその週末、私たちは電車で何駅も離れた田舎に来ていた。
「初めて来た」
「私もです」
無人駅を降りると、穏やかな日差しの下に遠くまで田んぼや畑が広がっている。
雪は積もっていないのが幸いだけど、それでも風がびゅうびゅう吹き抜けて寒い。
「先輩もついてきてくださって本当に助かりました」
隣にいる先輩を見上げれば「俺も用事があるから」と言われてしまった。
「それに、俺も麗ちゃんもすごくいきたかった場所だし」
私は頷いて、目的の場所へと急ぐ。
先輩はもらった地図と目の前の景色を見比べながら歩いて、私はその後ろを歩く。
どこまで行っても田舎の景色は全然変わらない。田んぼと畑と、ときたま民家。
どこまでものどかな景色だ。
「ここの道を曲がるらしい」
一車線しかない道路を山に向かってしばらく歩いて、ようやく現れた分かれ道。
右に折れる道を曲がるとすぐに険しい山道になった。
「え、こっちで合ってるんですか!?」
「地図にはそう書いてあるけど?」
「なんなら麗ちゃんが見てみる?」と少し高圧的に言われて、方向音痴な私は「いやいや、先輩を信じます」と答えるしかなかった。
しばらく歩いていると急に開けた場所に出て、そこは気持ちのいい風が吹き抜ける場所だった。