君が好きなんて一生言わない。
私にはその理由がまるで分からなくて首を傾げる。
「ずるいよ、それは」
「え?」
けれど先輩は何も言わずにまた溜息を吐いて「…ごめん」と私の腕を解放する。
「急に腕引っ張ってごめん」
急にそんなこと言って立ち上がるから私は呆気に取られて「え、椎先輩」とまた先輩の名前を呼ぶ。
「もう授業終わったから、すぐにホームルームが始まる。さすがにホームルームは教室にいないとまずいでしょ?」
椎先輩の言う通りだった。
授業に出ていなかったら体調不良とか適当に誤魔化せるかもしれないけれど、さすがにホームルームに出なかった理由までは誤魔化せない。
先輩は空き教室の扉に手をかけて私に振り返った。
「また、放課後」
私は目を見開いた。
まさか椎先輩がそう言ってくれるとは思わなかったから。
「…っ、はい!」
『また、放課後』。
先輩に会える、その理由があるだけで心が躍る。
刺されるような教室の空気にも、きっと耐えられる。
いつもは重くて仕方のない教室へ向かう足取りも、心なしか軽いような気がした。
「ずるいよ、それは」
「え?」
けれど先輩は何も言わずにまた溜息を吐いて「…ごめん」と私の腕を解放する。
「急に腕引っ張ってごめん」
急にそんなこと言って立ち上がるから私は呆気に取られて「え、椎先輩」とまた先輩の名前を呼ぶ。
「もう授業終わったから、すぐにホームルームが始まる。さすがにホームルームは教室にいないとまずいでしょ?」
椎先輩の言う通りだった。
授業に出ていなかったら体調不良とか適当に誤魔化せるかもしれないけれど、さすがにホームルームに出なかった理由までは誤魔化せない。
先輩は空き教室の扉に手をかけて私に振り返った。
「また、放課後」
私は目を見開いた。
まさか椎先輩がそう言ってくれるとは思わなかったから。
「…っ、はい!」
『また、放課後』。
先輩に会える、その理由があるだけで心が躍る。
刺されるような教室の空気にも、きっと耐えられる。
いつもは重くて仕方のない教室へ向かう足取りも、心なしか軽いような気がした。