君が好きなんて一生言わない。
「あの椎が?

あの、他人には興味の欠片もない、あの椎が!?

女子を助けた!?

まじで!?」


大声を上げたユズ先輩の声に、椎先輩は「うるさいな」眉間にしわをよせた。


「園芸部の過失だと思ったから、そう言っただけ」


明らかに苛立つ椎先輩のことなんて全く気付かないのか、ユズ先輩は語り続ける。


「まさか、あの椎が人助けしたとはな…ありえねえ、明日は雹(ひょう)でも降るんじゃねえの!」


突然笑い出した先輩に驚いていると「ほっといていいよ」と隣で椎先輩が溜息を吐いた。


「いつもよく分からないタイミングで笑いだすから」


「笑いのツボがおかしいんだよ」なんて言うと、ユズ先輩に「口だけじゃなく手も働かせてよね」と釘を刺す。


「分かってるって、部長さーん」


「ったく、人使いの荒い」と愚痴を吐くユズ先輩。

けれど私はそれを違った風に見ていた。


「まさかユズ先輩と椎先輩が仲が良いとは知りませんでした」


そういうと、ユズ先輩は「そうか?」と首を傾げる。

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