君が好きなんて一生言わない。
大丈夫だったかな、あの文章で。

送信ボタンはもう押してしまったというのに、ひとりでそわそわしてスマホから目が離せない。

するとまたスマホが光って先輩の新着メッセージを知らせる。


『俺も楽しみ』


…たったそれだけの言葉で、私の世界は簡単に色づく。明かりが灯る。

心臓が高鳴ってどうしようもなくて、私は布団にダイブした。

けれど脳裏には椎先輩が浮かんで消えなくて、否応なしに顔に熱が集まる。

布団に潜っても、くるまってごろごろしても熱は消えない。


このままじゃ寝れない。


水でも飲んで落ち着こうと自分の部屋を出てリビングに向かうと、リビングにはまだ灯りがついていた。


「あら。麗、まだ寝ていなかったの?」


リビングではおばさんとおじさんがソファに腰を下ろして、テレビを見ながらくつろいでいる。

おばさんは私を横目でみながら茶を啜る。


「…ごめんなさい、少し喉が渇いてしまって」


するとおばさんは「そう」と言うとコップをローテーブルに置いた。


「でも、あなたが飲んでいいものなんて、この家には水道水くらいしかないわよ?」


どうして言葉はこんなにも鋭利なのだろう。

どうしてこんなにも心を痛めつけるのだろう。


私はそれでもなんとか表情を変えずに「はい」と頷いた。

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