君が好きなんて一生言わない。
かくす本当
土曜日の朝、私はいつものように制服を着て、いつもは真っ直ぐな前髪をピンで留め、マフラーを鼻先までぐるぐるに巻き、縁の大きなめがねをかけて家を出た。
前髪をピンで留めたのも眼鏡をかけたのも全て、先輩に会えるからオシャレしようと思ったわけではない。
私が清水麗であるというその素性を隠すためのものだ。
もし私が椎先輩の隣を歩いていることがバレたら血祭りどころか、新たな勢力からの虐め被害に遭う確率がぐっとあがる。
正直先輩のいる前で眼鏡をかけたくはなかったしこんな姿では会いたくはなかったけど 、避けることのできるリスクは全力で避けたい。そのために手段は選んでられない。
おそるおそる家を出て辺りを見渡すと、辺りには休日だというのに高校生の人通りが多かった。
なぜ、とも思ったけどすぐに気づいた。
みんなユズ先輩達バスケ部の試合を見に行こうとしている。
これだけ人がいるなら、変装していれば私だってバレないはず。きっと大丈夫なはず。
私は大きく頷いて学校に向かおうとした。
けれどすぐに「麗!」と呼び止められる。
びくりと肩をあげて振り返ると、紗由が驚きの表情で立っていた。
「どうしたのよ、その格好。今日は眼鏡なの?誰かと思ったわ。すぐ麗だって気づいたけど」
あっけらかんと言う紗由に、私は苦笑いをしながら「…いや、その、変装のつもりで…」と俯いた。
前髪をピンで留めたのも眼鏡をかけたのも全て、先輩に会えるからオシャレしようと思ったわけではない。
私が清水麗であるというその素性を隠すためのものだ。
もし私が椎先輩の隣を歩いていることがバレたら血祭りどころか、新たな勢力からの虐め被害に遭う確率がぐっとあがる。
正直先輩のいる前で眼鏡をかけたくはなかったしこんな姿では会いたくはなかったけど 、避けることのできるリスクは全力で避けたい。そのために手段は選んでられない。
おそるおそる家を出て辺りを見渡すと、辺りには休日だというのに高校生の人通りが多かった。
なぜ、とも思ったけどすぐに気づいた。
みんなユズ先輩達バスケ部の試合を見に行こうとしている。
これだけ人がいるなら、変装していれば私だってバレないはず。きっと大丈夫なはず。
私は大きく頷いて学校に向かおうとした。
けれどすぐに「麗!」と呼び止められる。
びくりと肩をあげて振り返ると、紗由が驚きの表情で立っていた。
「どうしたのよ、その格好。今日は眼鏡なの?誰かと思ったわ。すぐ麗だって気づいたけど」
あっけらかんと言う紗由に、私は苦笑いをしながら「…いや、その、変装のつもりで…」と俯いた。