君が好きなんて一生言わない。
先輩がすごい数の人に囲まれていること、こんなにもたくさんの人の中から、それも変装した私を見つけ出して声をかけてくれたこと。
どれをとっても驚きでしかなかった。
いつも空き教室で一緒に過ごす先輩と同一人物なのだと思うとなんだか不思議な感覚がする。
その笑顔を見た女の子達は黄色い悲鳴をあげて「見つけたって、どういうこと?」と尋ねる。
けれど椎先輩はその声に答えずに私の腕を掴むと歩いて行く。
「…ごめんね、少し走るよ」
先輩は誰にも聞こえないくらい小さな声で呟くと走り出した。
私は先輩に引っ張られるようにして不格好についていく。
後ろからは女の子達の声が聞こえてくる。
「誰、あの女!」
「地味なくせに!」
「うちの高校みたいだけど、あんなのいたっけ?」
どうやら私が清水麗だとはバレていないらしい。
それだけほっと胸を撫で下ろした。
私は運動が苦手だから、走るのだって当然遅い。
だから知らなかった。
こんなにも風を切って走る感覚を。
手を繋いで走ると、周りに人が大勢いても、まるで世界が二人きりみたいに思えることも。
先輩はいつも、私に初めてをくれる。
それはどれもキラキラしていて、まるで宝石みたいだ。
どれをとっても驚きでしかなかった。
いつも空き教室で一緒に過ごす先輩と同一人物なのだと思うとなんだか不思議な感覚がする。
その笑顔を見た女の子達は黄色い悲鳴をあげて「見つけたって、どういうこと?」と尋ねる。
けれど椎先輩はその声に答えずに私の腕を掴むと歩いて行く。
「…ごめんね、少し走るよ」
先輩は誰にも聞こえないくらい小さな声で呟くと走り出した。
私は先輩に引っ張られるようにして不格好についていく。
後ろからは女の子達の声が聞こえてくる。
「誰、あの女!」
「地味なくせに!」
「うちの高校みたいだけど、あんなのいたっけ?」
どうやら私が清水麗だとはバレていないらしい。
それだけほっと胸を撫で下ろした。
私は運動が苦手だから、走るのだって当然遅い。
だから知らなかった。
こんなにも風を切って走る感覚を。
手を繋いで走ると、周りに人が大勢いても、まるで世界が二人きりみたいに思えることも。
先輩はいつも、私に初めてをくれる。
それはどれもキラキラしていて、まるで宝石みたいだ。