君が好きなんて一生言わない。
それを見たギャラリーはワアッと湧いて、またユズ先輩はギャラリーに手を振る。あんまり嬉しそうに何度も手を振るものだから、終いにはキャプテンにがつんと頭を殴られて怒られていた。

それを見た椎先輩は「だからユズはあほなんだ」と溜め息を吐いて呆れていた。


ピーッと鋭いホイッスルが体育館に鳴り響く。


それを合図に試合は始まった。

キュッと体育館を蹴るバッシュの音が響く。

うちの学校がボールを奪うとすぐにユズ先輩へとパスが回った。

ドリブルをついて、自分たちのゴールへと走るユズ先輩。それを止めようと相手チームの2人がついていく。

けれど相手なんて何人いようが関係ないと言わんばかりだ。

あっという間にゴール下まで来るとユズ先輩はニヤリと笑って、無駄のない動きでボールを放り投げる。

それは綺麗な弧を描いてゴールに吸い込まれていった。

まるでスローモーションみたい。

ピッとホイッスルが鳴り響くと得点が動き、歓声があがる。


「すごい…」


思わず声が漏れる。

ユズ先輩は他の先輩方から「よくやった」と肩を叩かれている。

そしてまたユズ先輩がボールを持つと相手をするりと交わしなが味方にパスをしてアシストする。

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