君が好きなんて一生言わない。


ライトの眩しさと溢れる色。

小さな街の中心にあるショッピングセンターは寂れているという話もよく聞くけれど、想像していたよりは人がいた。

人も店も、目に映るもの全てがキラキラ輝いて見えて、辺りをキョロキョロ見渡していると隣にいる先輩が苦笑いした。


「その眼鏡は必須なの?」


先輩が言うのは私の眼鏡のことだ。

いつもはコンタクトレンズをつけているけれど、何かあった時のためにいつも眼鏡を持ち歩いている。

今つけているのは、他の生徒に先輩と一緒に歩いているのが清水麗だとばれないようにするためだ。


「そりゃ、必須ですよ」


念には念を重ねなければ。

「そっか」と先輩はこの前のことを思い出したのか申し訳なさそうな顔をするけれど、決して先輩が悪いわけじゃない。

弁解をすると先輩は「麗ちゃんは優しいね」と笑うから、私はこれ以上何も言えなかった。


「だけど、楽しそうだね」


その言葉に私は大きく頷く。


「こんなに、楽しいところなんですね」


自分が普段暮らしているところの近くにこんな場所があったなんて知らなかった。想像だってしなかった、否できなかった。

私には無縁の場所だと、そう思っていたから。


「麗ちゃんは何か見たいものある?」

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