君が好きなんて一生言わない。
「紗由は昼休みにあんたと椎先輩が二人っきりでご飯を食べることを知っていたんだよね?

いつも一緒にいる仲のいい友達が、いつもクラスメイトからいじめられているけどそれでも傍にい続けてあげたその友達が、自分の好きなひとと二人っきりだって聞かされ続けて、椎先輩のところに行くのを見送って。


ねえ、紗由はあんたのことをどう思ってただろうね?」



言葉が、のしかかる。

知らなかった、なんて言い訳にならない。罪の重さが胸にのしかかる。


いつもの罵詈雑言を投げらかけれるより、どんな言葉を投げかけられるよりも辛い。



「紗由は椎先輩が好きなのに、あんたは今までそれに気づかなくて紗由を傷つけた。

紗由はいつも笑顔であんたを守り続けていたけど、どれだけ傷ついていたんだろうね?」



どれだけ、なんて想像しただけで胸が痛い。

好きなひとと自分の仲のいい友達が仲良くなっていくのを、微笑ましく思えるだろうか。


…そんなわけがない。

そんなわけがない。


きっと行かないでって思っていたはずだ。

ショッピングセンターの話も、聞きたくなかったはずだ。


私は、紗由を苦しめることしかしてこなかった。

紗由が幸せになるために、そのために何かしたいと思っていたのに。


私は無力だ、なんてことじゃない。

私が、紗由を苦しめた。


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