腹黒執事の極秘任務
ある、雨の日
それから暫くして、いつも通りに凛と登校していたときだった。

梅雨の時期で、強めに雨が降る日。

いつものように中堂さんの運転で学校の近くまできて、そこから俺と凛は並んで傘をさして歩く。

学校まで車で行かないのは、凛がそうしてほしいと中堂さんに懇願したから。

中学の頃、学校まで車通学をしたら、それがいじめの発端となったからだ。

今まで電車通学で、駅からは徒歩通学だった普通の女子中学生が、突然黒塗り高級車で正門前に乗り付ければ、それはいじめの対象にもなるだろう。

いかにもお嬢様、な態度をとりたくない凛ば、出来る限り普通にいれるように努力をしている。

前に同じ高校の制服を着た女子グループが歩いている。

「上間さんってさー」

え? 凛のこと?

結構激しい雨だけど、大きな声で話している彼女たちの声はよく聞こえる。
凛も聞こえているようで、肩をぴくりと震わせた。
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