腹黒執事の極秘任務
梅雨特有のじとりとまとわりつくような湿気と、窓から嫌でも目に入るどんよりとした灰色の空。

気持ちも落ち込んでしまいそうだけど、凛が隣にいるだけで心は晴れる。

綺麗な凛、可愛い凛。

俺は、凛がいて、隣で笑っていてくれさえすれば、何でも出来る気がする。

さっき一人で女子4人の警護なんて不安だな、なんて思ってたし、安達くん居てくれたらラッキーだ、とも思ったけど、やっぱり安達くんいなくても大丈夫かな?

凛にちょっかい出されたくないし、皆幼い子供じゃないんだからなんとかなるだろう。

うん、俺、凛の為なら頑張れる。

「安達くん、花火大会一緒に行くつもりですか? 夏の夜まで安達くんと一緒とか、暑っ苦しいしうざい……」

「んだと森下!」

「ちょっとやめなってもう、二人とも仕方ないなぁ~」

笑いながら佐藤さんが仲裁に入った様子を、凛はにこにこと見つめていた。

俺やっぱ、凛が笑ってくれていたらそれで良い。
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