腹黒執事の極秘任務
「凛っ! さっきの失礼な態度は何?!
お父様に謝りなさい!」

「お嬢様! 大丈夫ですかっ?!
何か心休まるお茶でもお持ち致しましょうか?」

「何で怒ってるの?!
お父様が良い縁談をご用意して下さったのに! 我儘いわないで、凛!」

「お嬢様、お腹は空いておられませんか?
何か軽いものをご用意致しましょうか? 」

……。
凛を非難して怒鳴る母親と、凛を気遣って優しく語りかける使用人。

これじゃあどっちが母親かわからない。

凛は、母親も以前は優しかった、って言うけど、今やあの成金男のいいなりだ。

両親共に、一人娘の味方じゃなくなっている。
やっぱり凛は、俺が護らないと。

暫く騒いでいた二人は、凛にドア越しに「放っておいて!」と怒鳴られ、戸惑いながらも引き下がった。
俺はそんな二人を横目に見やり、凛が出てくるまで待とう、と廊下に座り込んだ。
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