腹黒執事の極秘任務
暫く座り込んで凛が出てくるのを待ってみたものの……。

部屋からは物音ひとつしない。

凛のことだ。泣き腫らして眠ってしまったのかも知れない。

俺は一旦自室に戻る事にした。
ずっと制服で居るわけにもいかないし、荷物とか置きたいし。

心の中で「すぐ戻るから」と呟いて、俺は凛の部屋の前から社宅へと移動した。

自室で自分の鞄を置き、学校用の制服から屋敷用のスーツに着替える。

本当は部屋着に着替えてリラックスしたいけど仕方ない。一応使用人として、屋敷で凛と会ったり他の人に会うときはこの格好をしないと許されないのだから。

窮屈だな、と思いながらも取り敢えず割りきって着替えたところで、携帯が鳴った。

こんな時に誰だ……。

顔をしかめながらディスプレイを確認する。

「元木さんかよ……」
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