腹黒執事の極秘任務
実は支度は済んでいて、特にやることもない俺はベットに転がった。
暫く色々考えた後、不意に喉が渇いて起き上がった。

キッチンに向かおうと部屋を出るたとき、開けたドアが誰かにぶつかった。

「ごめん! 大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ、お兄ちゃん」

「まりん。どうした?」

ドアの前にいたのはまりんだった。
おでこを抑えながらこちらを見上げている。

俺が出てくるのを待っていたのか、それとも声をかけようとしていたところだったのか。

「お兄ちゃん、本当に行っちゃうの……?
もう、会えないの……?」

うるうると潤んだ彼女の瞳に、自分が歪んで映る。
いつも元気なまりんにしてはしょげている。
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