腹黒執事の極秘任務
「森下君、お迎えよ!」

朝、いつも通りに皆と食事をとっていると、奥さんが慌てた様子で外から駆け込んできた。

「……思ったより早いですね……」

あげる、と隣にいた弟分に残りのおかずを差し出し、席を立つ。
部屋に戻って荷物を取り、玄関を出た。

すると、玄関に皆が並んでいた。
荷物を取りに行った間に出てきてくれたんだろう。

ああ、これ、俺が今までしてきた方なのにな。
見送られる側になっちゃったか。

苦笑いを浮かべながら、最後の挨拶をする。

「さよなら、皆。
楽しかったよ、今までありがとう」

「お兄ちゃん……」

「翔護お兄ちゃん行かないで!」

「お兄ちゃんがいてくれないと、僕っ!」

「俺がいなくても大丈夫だよ。
また会えるし。
そんな生涯の別れじゃないんだから」

笑って手を振って、待っている車に向かった。
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