腹黒執事の極秘任務
「わ、わたし、お兄ちゃんのこと……!」
「そろそろチャイム鳴るから、教室戻りな?」

意を決して、何かを言いかけるまりんの言葉を遮る。

まりんが何を言おうとしているのか分かるけど、言われても困る。

俺が遠くに行って、会いにも戻ってこなくて、勝手に彼女が出来たのか、と考えて、気持ちが焦っているんだ。

何か言いたげなまりんを見送って席に戻り、慌てて残りの弁当をかきこんだ。

良い食材で作られた、良い料理。
だけど急ぎすぎて味は分からなかった。

帰りの校門で、再度まりんに声をかけられた。
けど、通学時間が長くなった上にこれから習い事だ。

えっと、今日はなんだっけ……?
多すぎて把握出来てない。

「ごめん、まりん!
急いでるから!」

「ちょっと、お兄ちゃ……!
もうっ!」

背後から怒る、でも悲しそうなまりんの声が聞こえた。
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