腹黒執事の極秘任務
サラサラと、ストレートの黒髪が揺れる。
旦那様に軽く会釈をして上げた顔が、俺を見て戸惑っていた。

可愛い……。
顔も姿もそうだけど、なんて言うか、雰囲気。
清純そうでふんわりと穏やかで、どこか影がある。
この子、守ってあげたい。

あれ? もしかしてこれって一目惚れ……?
え? 俺、引きこもりお嬢様に惚れたのか?

自分の気持ちに動揺するも、バレないように必死に取り繕う。

「えっと、お父様……。
本日はどのような……?」

声まで可憐だ。
可愛いって言うよりも、透き通ってるって感じ。
清純な雰囲気にぴったり。

言葉を選ぶようにおずおずと言い出す彼女。
ああ、この傲慢男が苦手なんだな。

金持ちの一人娘のはずなのに、のびのび出来ずに不憫だな、なんて思った。

執事がつくなんて話は聞いていなかったらしい彼女は驚いて、目を白黒させていたけど、父親には逆らえないようだった。
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