彼の嘘 彼の本音
それからも藤真君は、あたしのバイトの上がり時間には迎えに来てくれて、ただ黙ってあたしを送り届けてくれた。


あたしは、数少ない彼との時間を必死になって話していた。


相変わらず背中しか見せてくれない彼に振り向いてほしくて、


テレビの話だったり、学校の先生の話だったり、


たまには質問なんてしてみたりした。


最初の頃、返事を待ってみたけど、そのまま沈黙が続いてしまったから、もう返事は待たず一人で話す事を徹底した。


帰り際に、一度だけあたしの姿を見ると、


いつもそのままなにも言わず帰って行く。


これって、付き合ってるって言うんだろうか。


ただのお迎え。


いや、それだって有り難いんだけど、それでも、


それでも、カレカノじゃ、ないの?


付き合ってるんじゃないの?


あたしに少しでも、気持ちがあるんじゃないの?


あたしは、藤真君が好きだよ。



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