彼の嘘 彼の本音
教室を出て、廊下を一人歩くと、他のクラスの男の子達の会話が聞こえてくる。


「あれ、絶対告白だよなー。
いーよな、藤真。イケメンは選り取りみどりで。」


そっか。やっぱり告白か。

部活時間にいないからどうしたのかと思ってたけどなんとなく予想できてた。



「僻むな僻むな。
まぁ、でも藤真は断るだろ。」

「そう、それ。ずっと思ってたんだけど、なんで藤真って、断んの?
今フリーだし、付き合ってみればよくね?」


フリー。

そうなんだよね。あたしと付き合い出してからもう2週間経つのに、あたし達が付き合ってるのを知ってる人なんて誰もいない。

怜奈ちゃんには、恥ずかしいから皆にバレないようにしてもらってるんだと説明したけど、

最近は明らかに疑いの目で見られてると思う。


ほんとに付き合ってるの?って。



「あいつ、…いるんだよ。好きなやつ。」

「え?!マジ?」

「マジ。
聞いた話じゃ、ずっと想ってるらしいよ。
…お前、藤真に余計なことゆうなよ?」

「わぁーってるって。
でも、藤真が告ればその子もオッケー出すだろ。」

「いや、……その子好きなやつがいるらしいんだよ。」

「……マジか。
あの藤真がねー。報われない恋かぁ。なんでそんな風になってんだろねー。」


…だよねー。


見ず知らずの男の子の意見に同感。


選り取りみどりのはずの彼がなんで片想いなんだろねー。


好きな人がいるのに、なんであたしに付き合って、何て言ったんだろうねー。



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