彼の嘘 彼の本音
「お母さんが出て行って、オヤジさんが酔っぱらう度、夢を殴りつけるって。」

「…、」

「夢は隙をみて逃げて、大樹さんとこに泊まらせてもらってたって。」

「…、も、もういいよ。」

「大樹さんに頼めないときは、ネカフェにいたんだろ?」

「…悪いけど、お母さん呼んでもらえないかな?」

「大樹さんに言ったら、驚いてた。
『知らなかった。』って。知ってたら、すぐに連れ戻しに行ったのにって。」

「…、」

「なんで言わなかった?」

「…、大樹先輩に、申し訳なくて、」

「じゃなくて!」 

「え、」

「俺に、なんで言わなかったんだよ。」

「…っ。」



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