彼の嘘 彼の本音
夢でも、聞き間違いでもないと思う。

今、目の前にいる藤真君の口から発せられた言葉だ。


でも、信じられない。


「…嘘。」

「じゃない。」

「…だって、だって!
言ったじゃない。あたしの顔なんか見たくないって。」

「…あれは、…悔しかったんだ。」

「え?」

「学校休んでるのは知ってたから、ずっと気になって連絡入れてたのに、なかなか返事がこなくて、既読にもならなくて、心配してた。
なのに、…大樹さんから連絡くるし、大樹さんの部屋にいるって知ってムカついて、おまけになんか、抱きしめられてるし。」

「…、」

「ムカついた。」

「…、」

「紗也のことはただの言い訳。」

「…い、いわけ?」

「俺が大樹さんに妬いた。」


…妬いた、って、それって。


「夢は、俺のだろって。」


俺のって。




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