彼の嘘 彼の本音
「紗也さんのこと、呼びすてしてる。」
「…ああ。」
「おんなじ、だよ。」
「…ん?」
「おんなじ、気持ち。
呼ばないでって、思ってしまう。仕方がないのに。」
藤真君が、紗也さんを呼ぶ度、その名前が特別に聞こえた。
ずっと、羨ましかった。
「夢。」
「ん。」
「俺、こんな気持ちになんのほんと初めてで、」
「…うん。」
「紗也が好きだって思ってた時と、全然違った。」
「…うん。」
「始めは、紗也に協力してやろうって思ったからだった。
紗也に好きなやつがいるのは知ってたし、俺たちはきっと今までもこれからも、家族としての感情以上は持てないなって、もうわかってたから。」
「うん。」
「で、紗也の好きなやつが、大樹さんだって知って、紗也に聞いた大樹さんの可愛いがってるやつってのが夢だって知った。
夢が、一緒の学校で、しかもいつも男連中が噂してる子なんだってのもわかった。」
「…ああ。」
「おんなじ、だよ。」
「…ん?」
「おんなじ、気持ち。
呼ばないでって、思ってしまう。仕方がないのに。」
藤真君が、紗也さんを呼ぶ度、その名前が特別に聞こえた。
ずっと、羨ましかった。
「夢。」
「ん。」
「俺、こんな気持ちになんのほんと初めてで、」
「…うん。」
「紗也が好きだって思ってた時と、全然違った。」
「…うん。」
「始めは、紗也に協力してやろうって思ったからだった。
紗也に好きなやつがいるのは知ってたし、俺たちはきっと今までもこれからも、家族としての感情以上は持てないなって、もうわかってたから。」
「うん。」
「で、紗也の好きなやつが、大樹さんだって知って、紗也に聞いた大樹さんの可愛いがってるやつってのが夢だって知った。
夢が、一緒の学校で、しかもいつも男連中が噂してる子なんだってのもわかった。」