彼の嘘 彼の本音
「夢はさ、いつも俺が送っていった時とか、なんかすると必ず「ありがとう。」って言うんだ。大したことないことでも、笑って。」

「…そ、かな。」

「ん。俺が惹かれたのは、「ありがとう。」って笑った夢だった。」

「…っ、」

「夢が気になる存在になって、可愛いなって思うようになって、ずっと俺といてほしい人になった。」


藤真君の話に、自分の鼓動が大きく聞こえてる。

好きだ、と言われて、でも、半信半疑でいたあたしも、

これが真実なんだと思えるくらい、

それくらい、丁寧に、真剣な目で話してくれるから。

口下手で、あまり話をしない藤真君が、

いつも以上に話してくれる。

それだけでも、あたしには飛び跳ねたくなるくらい嬉しいことだ。

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