彼の嘘 彼の本音
心配させたくないのと、知られたくない思いで、父親の事を黙っていたけど、

意外にもあっさり話す事が出来のは、もう済んだ事だと思えるからかもしれなかった。


父親の事。

レイプ未遂の事。


泣きそうな顔をして聞いてくれた玲奈ちゃん。


「力に馴れなくて、悔しい。夢が悲しい時、側にいるだけでも出来たのに。」

「あたしが言えなかったからだよ。
ごめんね、言えなくて。
父親に殴られてる、なんて、どうしても言えなくて。」

「…、なんで、夢が謝るのよ。
言えないよ、あたしがそうでも。
話してくれて、ありがとう。」

「…ん。聞いてくれて、ありがとう。」

「これからは、少しくらいあたしも頼って。
大樹さんだけじゃなくて。」


玲奈ちゃんは温かい。











< 206 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop