彼の嘘 彼の本音
大樹先輩に促されて料理を取りに行く。


少し先にいる藤真君達が見えたけど、


側には行かず、気づかないふりをして、一人で選んだ。




「……っと、」


……危ない。

少し遠くの料理を取るのに背伸びして、よろけそうになった。


ふと、ホテルの1階にあるこのバイキングレストランのガラス張りの窓の外を見る。


……雨、降りそうだな。


ボーっと外を見ていれば、


「…これ?」

「え?」

「取ろうとしてたやつ。」

「あ、う、うん。」

「貸して、皿。」


そう言って、あたしの手からお皿を取り、

あたしの取りたかった料理を取ってくれた。


「ん。」

「あ、ありがと…、え!こんなに?!」


お皿に、山盛りいれてある鶏唐揚げゆず胡椒おろしがけ。


びっくりして、固まっていると、


「…ふはっ、」


笑い声がして、


「んな、驚かなくても。」


見上げれば、藤真君が笑っていた。










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