彼の嘘 彼の本音
「あれ?夢?」

「あ、大樹先輩。」


溢れてくる涙を止めて、落ち着くまで学校にいればいつもの帰宅時間より遅くなってしまった。


いつもなら、着替えて近所のスーパーに行くんだけど、
今日は帰りに制服のまま寄った。


すると、大樹先輩に偶然出会した。


「調子はどう?」

「あ、うん。大丈夫。ありがとう。」

「うん。良かった。
てか、…今帰り?」

「…あー、うん。休んでいた間の課題を出さなきゃダメだったから。」

「そっか。…一人?藤真君は?」

「あ、部活、が、あって。」

「そっか。でも、夢。
こんな時間なら待ってるとかして送ってもらいな。
暗くなるの早いし。な?」

「…うん。頼んでみようかな。」

「うん。彼女の頼みなんだから聞いてくれるよ。」


本物の彼女、ならね。


「先輩、今日の夕飯の買い物?」

「あ、おう。なんか、簡単なやつない?カレー以外で。」

「カレー以外で?」

「そ。俺もうカレー飽きた。」

「ははっ。大量に作りすぎるんだよ。」


大樹先輩は、優しい。

いつもあたしを心配してくれて、

あたしはそれに甘えてしまってる。






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